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アンカー 1
物語
影――それは人を人たらしめるもの。
光なくして影はなく、影なくして光はない。
故に影を失くした者は光をも失くし、この世から消え去る。
人はそれを " 影隠し " と噂した。
人の影を奪い、喰らう怪。
怪の頭目・八岐大蛇を相手取り、古来より中津国にて魑魅魍魎を調伏せしめるは " 影の五門 " 。
その一派 " 影縫い " と呼ばれる者たちは今宵も闇夜を駆け、人に影を反す。
そして今ここに、稀代の天才と称されし男と見習いの少年が糸を伝い相まみえた。
例え消えゆく影があろうと
僅かに残る光を絡まり合う縁が繋ぎ止めるであろう。
影在るところに光在り。
暮れぬ陽がないように、明けぬ夜もない。
アンカー 2
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