STORY
この世界の人間には、全員に何らかの先天性嗜好がある。
方向性や程度によっては世のため人のためになる嗜好もあるが、病的・反社会的なものも当然存在した。
中でも最も危険とされた嗜好が『殺人愛好』である。殺人行為を愛し、何度も繰り返す嗜好だ。
人間は殺人を愛する嗜好が現れた時に狼狽した。
"嗜好は感染する"
嗜好の研究機関が発表していた研究結果は、奇しくも世界中を震撼させることになってしまった。
世界中を恐怖の底に叩き落とした三つの事件がある。
"ロンドン塔事件" "ニーテ村大虐殺" "ドイツ連続殺人事件"
嗜好が感染するこの世界で、人々は事件の凄惨さよりも、犯人が未だ捕まっていない事実に戦慄した。
そんな中、"ニーテ村大虐殺"の被疑者とされていたビアンカはその犯行を疑問視され、イタリアの市街地から遠く離れた森奥にて仮釈放された。
ビアンカと彼女の保護観察官・エミリオは、誰も居ないはずのその森に住む青年と少女に出会い、止まっていた三つの事件が動き出す。
CHARACTER
イタリアの人里離れた森の奥で、カティアと二人暮らす青年。 嗜好:愛護癖 常に敬語を使い、一見した所では礼儀正しい少年。 カティアに対しては温厚で心優しいが、彼女以外には辛辣。 知識についてはカティアから学んだものが大半であり偏っている。 カティアに深く心酔し自分を犠牲にしても守ろうとする。 特技は料理で、全く料理が出来ないカティアに変わって料理を担当する。 肉料理は苦手で拒否反応を示す。
イタリアの人里離れた森奥で、ヨハンと二人暮らす少女。 嗜好:『収集癖』、『正義感』 イタリアの人里離れた森奥でヨハンと二人暮らす少女。 正義感が強く自己犠牲的な考えを持つ。 慈悲深いが、ヨハンに危害を加えようとする者に対しては容赦しない。 収集壁のため自室には大量のぬいぐるみが置かれている。 家事全般はこなせるが料理だけはできず、人間には食べられないようなものを平気で作る。 幼い頃に左足を負傷しており、その後遺症で長時間は歩けない。
三年前、イタリアの小さな村で起こった大虐殺の容疑者とされていた少女。 嗜好:『作成癖』 刑務所で服役中だったが、犯行が疑問視されたことで仮釈放され、イタリアの森奥へと移り住んだ。 お転婆で怒りっぽい面はあるものの、困っている人は放っておけない。 自分の意思ははっきり伝えないと気が済まず、嘘が吐けない。 手先が器用で手作りの品を作ったり料理をするのが好き。 前述の大虐殺の唯一の生存者であり、14歳までの記憶をほぼ失っている。
ビアンカを監視するために派遣された特殊警察保護観察官。 嗜好:『観察癖』 無表情かつ単調な声で喋るが、言いたいことははっきり言うタイプ。 非常に頭がよく特殊警察の面々からは天才と呼ばれている。 しかし極端に不器用なこともあって慣れていないことはさっぱり出来ない。 女性恐怖症で、カティアやビアンカに対してもかなり距離を取る。
特殊警察の全指揮権を握る元軍人の女長官。 嗜好:『完璧主義』 冷静沈着かつ何事にも厳しい性格で、任務を着々と完遂させる切れ者。 自他共に厳しく部下からは畏怖されているが、同時に絶対的な信頼も寄せられている。 何事も完璧にこなさなければ気が済まず、些細なことにも全力投球。 罪を償うことなく自ら命を絶とうとする犯罪者たちを許さない。 三年前に友人のルノを殺害したサイコキラーへの復讐を誓っている。
特殊警察の刑務所看守長。 嗜好:『眼球愛好』 お調子者で常にテンションが高くお喋り。人当たりも良く多くの人に好かれている。 面倒見が良くアニエスの話相手を務めており、妹の様に可愛がっている。 嗜好のせいか、人を目で判断することが多い。 幼い頃にシリアルキラーに右目を抉り取られており、犯人に自分と同じ世界を見せることを復讐として掲げる。
特殊警察の長官補佐。 嗜好:『偶像愛好』 おっとりした性格で、臆病で泣き虫だが勇敢さも持ち合わせている。 誰にでも分け隔てなく接するためか、囚人達に好かれている存在。 大型重火器の扱いに秀でている。 嗜好のために人形が大好きで、自分で作ったりもする他、美術館巡りを趣味とする。 自他の自然治癒力を極限まで高め、どんな傷でも治すことが出来る謎の能力を持つ。 この能力で自殺を図ろうとする殺人犯たちを生かし続けている。
現在ヨーロッパ全土に出没し、巷を騒がせている連続殺人鬼「サイコキラー」。 自分に絶対的自信を持つ天才。自己中心的で人の話には耳を貸さず、自分だけを信じて行動する。 饒舌で催眠誘導術を得意とし、人の記憶を消すことも容易にできる。
フランス政府直轄の研究所所長。 嗜好:虚言癖、演技癖 冷静沈着かと思えば饒舌になったり物憂げになったりと、性格の変動が非常に激しく芝居がかった態度を取る。 記憶の錯乱も所々に見られ、嗜好が極端に悪化していることが分かる。 自分の発言が真実か嘘かも認識できなくなっており、身体の衰弱も激しい。 ゾーイやルノ、レオス姉弟とは知り合い。アニエスには父のように慕われている。 彼の研究はクローン・合成獣・抗体研究など多岐に及ぶ。
スペインのアコルニア村で柘榴を売る仮面の女。 嗜好:排除願望 仮面をつけている時は一言も発さず、感情も分からない。 柘榴を買いに来た子供に花をプレゼントするなど優しい面もあるが、邪魔なものはどんな手を使ってでも排除しようとするほど残虐。 周囲の人々の嗜好を悪化させる「促進体質」の保有者であり、アコルニアの住人全員の嗜好を悪化させた張本人。 これにより、アコルニアは訪れた人が気を狂わせる呪われた町と称されるようになる。
イギリスの古城・ロンドン塔で一人暮らす元メイド。 嗜好:??? 元メイドというだけあって礼儀正しく振る舞いも穏やかで献身的。 笑顔の絶えない明るい性格で、細かな所にも気が付く気配り上手。 茶目っ気があり冗談を言うことも多い。 バレエの経験があるというが……?
アニエスに似た少女。